2012年10月3日水曜日

灌頂巻:美しい寂光院の描写

平清盛と正室時子の娘にして、高倉天皇の后であった建礼門院。彼女が、壇ノ浦で死に切れず、死者の弔いの地に選んだのは、大原の寂光院だった。

この巻での、寂光院の描写が美しい。京の町からは遠く離れ、寂しい山奥で、鹿の音がかすかに聞こえ、など、屏風絵や、映画の美しい1シーンになりそうなその描写力にうっとりしてしまう。

今も、多くの人が、この物語で作られたイメージに触発されて、この場所を訪れる。物語世界の現実世界への影響の大きさを、改めて実感させられる。

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