平家物語は、平家の没落の物語だが、それにまつわる様々なエピソードも紹介している。その中でも、比叡山の天台宗の延暦寺についての記述が実に多い。
巻第二の冒頭でも、天台座主の明雲が、後白河法皇によって天台座主の座を追われ、島流しの罪に問われるエピソードが紹介される。
明雲は、支持者によってかくまわれ、島流しは回避される。平家物語の筆者は、これは全くの冤罪であるとの立場を明確にしている。
天台座主の流罪という事態は、開闢後未だに発生したことのない大事件であり、しかも、明雲は清盛の推挙により、天台座主の座についている。つまり、これは清盛と後白河法皇による権力争いを象徴する事件なのだ。
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