2012年8月14日火曜日

巻第九:熊谷次郎直実と平篤盛

あまりにも有名な、熊谷次郎直実と平篤盛のエピソードも、この一の谷の戦いで生まれた。

我が子と同じ年かっこうの若き武士、平篤盛を、心を鬼にして討ち取った熊谷次郎直実。その篤盛の鎧の中から、美しいにおいの香と、美しい笛がでてくる。

その笛は、戦いの前夜、平家の軍勢の中から聞こえ、相手方の源氏の武士の心をも癒した、美しい音色を奏でたものだった。

この美しいエピソードは、総大将、義経のもとにも伝わり、それを聞いた源氏の武将は、誰もが涙を流した。命を懸けた戦の中にあっても、誰もがその心の中には、こうした気持ちを持っていた。

平家物語には書かれていないが、熊谷次郎直実は、この戦の後、出家して、浄土宗の開祖、法然上人のもとで、その生涯を過ごしたという。

0 件のコメント:

コメントを投稿