平重盛の嫡男、維盛は、那智の沖で入水したが、その家族、妻と二人の子供は、まだ都に残っていた。
しかし、彼らにも、源氏による平家の残党狩りの手が迫っていた。
まず、若君が捕えられ、殺されそうになるが、文覚上人がそれを聞き、鎌倉に出向いて、頼朝に除名を乞うことを試みる。
家族は一旦は安心するが、その帰りが遅く、若君の処刑の日が近づき、ついにその日を迎えてしまう。最初の切り手は、あまりのむごさに殺す気が失せてしまう。
次の切り手を探しているうちに、頼朝からの助命の書状をもった文覚が到着し、若君は、文覚の元で、僧として生き残ることを許される。
このエピソードの描写は見事。最後の処刑のシーンは、原文で読んでも手に汗握るような緊迫感が感じられる。
後日談とも取られかねない巻第十二において、このようなシーンを描いているところが、この物語の面白さだと言える。
0 件のコメント:
コメントを投稿